6才の子どもの力を伸ばしたい。家でどんなことができる?
この記事では、6才のお子さんの「育ち」と、家庭でできる関わり方を発達の専門家:言語聴覚士が解説します。
- 国家資格:言語聴覚士(ST)免許保有
- 総合病院で働く小児ST
- お子さんの発達を支援する仕事をしている
6才の「育ち」の概要
全身運動が滑らかで巧みになり、自転車や竹馬に乗れるようになります。
これまでの経験をもとに、見通しを立てる力が育ち、心身ともに力があふれ意欲が旺盛になる時期。
役割分担のあるごっこ遊びをし、興味のあることは満足するまで取り組むことができるようになります。
科学的好奇心や文字への興味が深まり、自立心は一層高まります。
そんな6才のお子さんの「育ち」と「おうちでできる関わり」について、以下の内容について解説します。
- 全身の運動
- 指先の巧緻性
- ことば
- 概念の形成
1つずつみていきましょう。
6才の「全身の運動」
重心の置き方や力の入れ方のコツをつかんで、全身のバランスをとるのが上手になります。
複雑な動きができるようになってくるので、「道具を使った複雑な動きのある遊び」を意識して関わるといいですね。
竹馬
バランス感覚が育まれる6歳に最適な遊びです。
竹馬への乗り方は
- ご両親が前に立って支える
- 竹馬の踏み台と同じ高さの台から乗る
- 地面から乗る
というステップで難易度を上げていきます。
少しずつ距離を伸ばして線に沿って進む、ご両親と競争するなどすると楽しくバランス感覚が養われます。
縄跳び
大縄跳びの練習を経て、いよいよ自分で縄を回して飛ぶことに挑戦しましょう。
「手を回す」+「ジャンプ」+「タイミングを合わせる」の動作なので、なかなかうまくはいかないかもしれません。
- ジャンプする練習
- 縄を回す練習
- ジャンプして手を叩く
- スローモーションで1回飛ぶ
といったステップで進めます。
何度も失敗しながら上達していくものです。
頑張った過程、昨日と比べて上手になったことを褒めながら少しずつ進めて下さいね。
自転車
自転車の練習を6歳ころから始めるお子さんも多いのではないでしょうか。
補助輪を外し、サドルを足が着くまで下げます。
はじめは足で蹴って進むことを繰り返し、バランスをとってハンドルを操作できるように練習します。
我が家では、ペダルを外して蹴って進む練習を繰り返しました。
蹴って勢い良く進めるようになった後に、ペダルをこぐ練習をするとスムースに乗れるようになることが多いです。
私は自転車に乗れるようになったのは8歳なので気長にやりましょう!
6才の「指先の巧緻性」
大きな運動の次は「指先の巧緻性」について解説します。
指先の巧緻性
指先の器用さのこと。鉛筆やハサミの使用に関係する動作。その他、衣類の着脱、手洗い、歯磨きなどの生活に必要な活動の土台となる。
6才になると、鉛筆やハサミなどを「親指、人差し指、中指」の3指で支えるように持ちます。
力の入れ方やコントロールする力も高まり、連続的な複雑な動きがさらに上手になります。
姿勢も意識して
椅子に座って行う活動が多いですが、意外と大切なのが「姿勢」。
集中力にも影響します。
そんな時期の「指先の運動」が高まる関わりを紹介しますね。
文字を書く
就学に向けて、おうちでの「ひらがな練習」に取り組んでいるご家庭も多いと思います。
鉛筆の操作が指先の細かなコントロールにつながります。
お子さんの習得状況に応じて
- 線引き
- 迷路
- なぞり書き
- マスの中に書く
の取り組みをします。
名前を書くと、2文字目、3文字目と徐々に「ひらがな」が大きくなっていくお子さんもいるのではないでしょうか。
バランスよく書くためには、マスの中に書く練習がおススメです。
「ひらがな練習」はすぐに成果はでないものの、練習することによって少しずつ上手になっていきます。
頑張った「過程」を褒めて取り組んでくださいね。
ぬり絵
ぬり絵は、ひらがなを書くのと違い鉛筆の往復が多いという特徴があります。
手首を動かして鉛筆を操作する段階から、指先を動かして鉛筆を操作する段階へのステップアップにうってつけです。
- はみ出してもOK
- 違う色でもOK
子どもが好きなように塗らせてあげてくださいね。
どろ団子
子どもが大好きな「どろ団子」作り。
「指先の細かな操作」に加えて「手首の使い方」まで育まれる遊びです。
「ひらがな練習」は退屈ですぐにやめてしまうお子さんも、どろ団子作りには長い時間取り組むことが多いです。
完成までの見通しがつくので、飽きずにできるのでしょう。
6才では大人顔負けの完成度の作品を作るお子さんもいるのではないでしょうか。
お絵描き
6才にもなると
- 顔から「首」でつながった胴体
- 家にあるのと色の同じ服
- 靴を履いた足
といった絵を描き始めます。
まだ上手に描けないお子さんも、お手本や言葉かけでできることもあるでしょう。
いつも同じような絵を描くお子さんが多いと思いますがOKです。
描く動作自体が指先の運動を高め、結果的に表現力の向上につながります。
楽しく描くことが大切!
6才の「ことば」
さまざまな理屈がわかり、それを根拠とした説明ができるようになる時期です。
言葉を巧みに使って、日常会話を大きな支障なくこなします。
一方、小学校入学後の「読解力」に一貫して影響しているのは「語彙」であるとも言われています。
十分な理解力があると思っても、「理解語彙」を増やす関わりを積極的に行いましょう。
理解語彙
聞いてわかる言葉のこと。話す言葉よりも、聞いてわかる言葉が特に大切。
絵本
想像力が豊かになり、絵本の世界をより楽しむことができる年齢です。
自分で読めるお子さんもいるのではないでしょうか。
「読んでもらってこそ物語を楽しめる」という面もあるので、6才になっても絵本の読み聞かせはおススメです。
ご両親が読んであげることで
- 長いストーリーも楽しめる
- 物語にのめり込める
- 親子のコミュニケ―ションの機会になる
といったことが期待できます。
絵本選びは、子どもが読みたいものを優先しつつ
- おもしろい絵本
- 感動する絵本
- 定番の絵本
- 昔話の絵本
- 小学校への興味が持てる絵本
などを取り入れてみましょう。
絵本には、日常会話で使わない「語彙」が多く含まれています。
「自分で読めるから…」ではなく、この時期でも積極的に絵本の読み聞かせをしてあげましょう。
カルタ
カルタは「ひらがな」の読み練習ができつつ、子どもが熱中できる遊びです。
ひらがなを読めるお子さんは交代で、読み札を読んでもらいましょう。
モチベーションが下がらないように、ご両親が負けるなどの配慮をしてね。
絵日記
絵日記は「語い」を増やす効果がかなり大きいです。
一緒にでかけた場所を振り返りながら、絵日記をご両親と一緒に描きます。
お子さんとの会話を楽しみつつ、
- その時に見たもの
- その時に感じたこと
- その時に考えたこと
などを引き出しながら絵を描いていきます。
絵日記を描きながら話す内容は、普段の会話とは違ったフレーズが自然と出てきます。
また、
「きょうはこうえんにいったよ。おおきなかまきりがいてびっくりしたよ。」
などとご両親が促しながら「ひらがな」を書いて、最後に読んでもらうことで説明上手になりますよ。
数日前の絵日記を読み返すのも面白いものです。
言葉を楽しむあそび
言葉の仕組みに気づくことで、さかさ言葉、しりとり、なぞなぞを楽しめるようになります。
さかさ言葉(回文)
回文は下から読んでも同じになる言葉。
- トマト
- 子ねこ
- しんぶんし
- たけやぶやけた
- 肉の多い、大乃国
子どもにとってはこういった言葉が無性におもしろいようです。
言葉の音の構成に気づいた証拠です。
色々な回文を仕入れて、得意げに外で披露することも多いです。
しりとり
言葉の「音の構成」に注意を向ける力が育まれます。
この力は、ひらがなの読み書きの土台となる大切な力です。
- 食べ物だけのしりとり
- 動物だけのしりとり
- おうちにあるもの限定のしりとり
などのルールを追加して難易度を上げてみるのもいいですね。
なぞなぞ
なぞなぞは、答えに「とんち」や「ダジャレ」を聞かせた遊びです。
知識を必要とするクイズと違って、言葉あそびの要素が強いです。
「どうしてその答えになるか」がわかるためには、理解力が必要。
年齢に合ったなぞなぞ本を買うのがおススメです。
わが家の子どもも6才で「なぞなぞ」に夢中になったよ。
6才の「概念の形成」
「概念の形成」というと少し難しいですね。
「モノの特徴がわかる力」というニュアンスです。
「リンゴ、みかん、はさみ」の3つのうち「はさみ」が仲間はずれでだとわかるのは、「くだもの」という概念があるからです。
概念があると「共通認識」ができるので、コミュニケ―ションが効率的になります。
30cmのリンゴを見て「すごい!」で伝わるのは、一般的にリンゴは10cmくらいという「共通認識」があるからです。
「ことばの発達」にも影響する、「概念」の形成を育む関わりを紹介します。
ここでは「数」も概念に含めて説明するよ。
すごろく
サイコロを振って、その分数だけ進む「すごろく」は数を意識できる遊びです。
競争できるので、遊びながら数の概念を育むことができます。
「人生ゲーム」のようなすごろくは難しいので、子どもの理解しやすいものを用意してあげましょう。
数の合成・分解
足し算と引き算の前段階の「数の合成・分解」は実物を見ながら理解させます。
身近にあって、形もそろっているのでお菓子を用いるといいですよ。
「3個」と「2個」のラムネをそれぞれ数えてから、全部を1回で数え「5個」であることを確認します。
そして、3個のラムネがある時に
- あと1個あったら何個になる?
- 1個食べたら何個になる?
と聞いて、実際に数えてみましょう。
お勉強要素が出てしまうので、無理なくね。
助数詞を意識して
助数詞
数の後ろにつけて数量を表す「~本」「~枚」「~匹」などのこと。
モノによって助数詞を使い分けますが、何にどのような助数詞をつけるかは感覚で身につけていくことが多いです。
- 細長いもの→本
- 平べったいもの→枚
- 動物→匹
- 人間→人
少し意識して、言葉かけしてみましょう。
時間を見て確認
「~時~分」までは難しいです。
「~時ちょうど」から教え、「~時半」と進めます。
- 「3時になったらおやつにしよう」
- 「10時半に公園行くよ」
と生活に結びつけて言葉かけしていきます。
分の理解
時計の針はゆっくり動くので仕組みが理解しにくいです。
「長い針が1周すると短い針が数字1個分進む」ということを理解するために、自由に動かせる電池を抜いた時計で遊ぶといいですね。
まとめ
6歳のお子さんの学びと、家で取り組める関わりについて紹介しました。
おうちでできる取り組みの参考にしてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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