言語聴覚士の「くろねこ」です。
総合病院でお子さんの発達支援の仕事をしています。
この記事では
幼児期のお子さんをもつご両親に向けて
「ひらがなが書けるようになるまで」の練習方法を4ステップに分けて、丁寧に解説します。
- 友達からもらったお手紙の返事を書けるようにしたい
- 小学校までに名前を書けるようにしたい
- 「ひらがなの読み書き」ってどうやって教えるの
こんな風に「ひらがな」の教え方に悩む方は多いです。
ひらがなを教科学習として本格的に学ぶのは小学校1年生から。
そのため、幼稚園・保育園での指導は園によって異なり、公立の園では「ひらがな練習」を行わないことも多いです。
その一方で、「小学校入学までに自分の名前が書ける程度に」という情報も多いです。
というわけで、この記事で「ひらがながかけるようになる」までの練習方法を4ステップに分けて解説します!
言語聴覚士が「ひらがなの書き」を解説
この記事は、言語聴覚士「くろねこ」がひらがなの書き練習について解説します。
言語聴覚士(ST)は言語・音声の処理過程を分析し、支援するリハビリ専門職です。
私は、小さなお子さんの支援を専門に行う「小児ST」です。
STは読み書きに関する専門家でもあるよ!
「ひらがなの書き練習」をするときのポイント
「ひらがなを読む」ことは、絵本や図鑑などを使って自然に身につけられるお子さんもいたでしょう。
一方、「書くこと」は少なからず意識的な努力が必要です。また、すぐにできることえはなく長期間の取り組みが必要です。
そのため、お子さんにとってはストレスになることも。
そこで「ひらがな練習」が嫌いにならないようにするためのポイントを紹介します。
学びたくなる環境作りに力を入れる
「ひらがなが書けるようになる」ためには、継続的な取り組みが必要です。
そのために、お子さん自身が学びたくなるような環境作りが大切。
そのためのポイントは下記の通り。
①キャラクターやかわいいイラストを用いる
「ひらがなを書く」練習では、ドリルなどの教材を用います。
お子さんが好きなキャラクターや、興味があるイラストを用いたドリルを使用することで、お子さんの意欲が上がります。
②取り組んだドリルを壁に貼る
その日の成果を壁に貼ってもらえれば、お子さんうれしいでしょう。
ご両親が誇らしげに貼ることで、お子さんのモチベーションが上がります。
誇らしげに貼るのがポイント!
③ご両親も一緒に取り組む
親が同じ机で一緒に取り組むと、お子さんの「やりたい」気持ちが刺激されます。
お子さんと同じ内容がよいですが、まったく同じでなくてもOKです。
例えば、ナンプレやペン字練習など。
お子さんと「同じ机・書く作業」というのがポイントです。
ちょうどいい練習量
幼児期の学習は、子どもの集中力に合った量を行います。
その理由は、新しいことを覚えること自体が子どもにとってストレスになることがあるからです。
多すぎる量は子どもにとってストレス過多になり、結果モチベーションが下がることも。
集中力は「年齢+5分」を目安に考えるとよいでしょう。
幼児期の集中力は『年齢+5分』!
ちょうどいい難易度
幼児期の子どもは、それぞれ成長のスピードや能力に差があります。
そのため、個々の能力に合わせて学習を進めることが大切です。
次に「ひらがなが書けるようになるまで」を4ステップで解説していますので、お子さんに合わせた難易度の参考にしてくださいね。
ひらがなが書けるまでの4ステップ
「書く力」は「読む力」を土台に育まれていきます。
したがって、「ひらがなの読み」の進捗状況によって、書く練習を行います。
イメージとしては下記のような感じ。
なので、ひらがなの「書き」は習得ステップではなく、練習する内容で段階分けをします。
「書ける」とは「ひらがなを思い出せるようになる」こと
ひらがなを書けるというのは、「ひらがなのカタチを思い出せる」ということです。
読むことは「ひらがな」を見分けられるとできますが、書くことは「ひらがな」を思い出せなければできません。
なので、「書くこと」は「読むこと」に比べて難しいです。
読めるようになって、しばらくして書けるようになっていくよ。
さらに、「書くこと」は少なからず意識的な努力が必要です。
具体的にはワークを使った反復練習が必要になるでしょう。
そのため、どうしても「お勉強感」が出てきていまします。
子どもが「楽しく学べる」ように、無理せずお子さんの興味に合わせて進めてくださいね。
下記に「書けるようになるための」4つステップを紹介します。
ステップ1:運筆練習
「運筆」とは、字を書くときの鉛筆の動かし方のことです。
運筆能力は、字を上手に書くために必要な能力のことで、これは練習することで向上します。
筆圧も運筆能力に含めるよ!
運筆練習の時期
運筆練習は、なぞり書きの練習をはじめるまでにできる練習です。
なぞり書き練習を始めるのが「ひらがなが読めるようになってから」なので、それまでの間に積極的に取り組みます。
運筆能力を育む時期
運筆能力は、なぞり書きを始める時期まで意識して育みたいスキルです。
この後に説明しますが、「なぞり書き」を始めるのは、ひらがなが読めるようになってきてから。
上で説明した「ひらがなが読めるようになるまでの6ステップ」でいうと、ステップ1~2の時期を中心に、遊びの中で運筆能力を育てます。
鉛筆を使わない運筆能力を高める方法
運筆能力は指先の巧緻性(こうちせい)を高めることで向上します。
鉛筆を持つのが難しい時期は、粘土遊び・レゴブロック・積み木などが子ども自身が楽しんでできるのでおすすめです。
実は運筆について大切なのは指先だけではありません。
手首、ひじ、さらに肩などをほどよく固定して行う動作なので、腕全体が宙に浮いた「積み木」は特によいです。
鉛筆を使った運筆能力を高める方法
鉛筆を使った運筆練習では、塗り絵・迷路・線引きがおすすめです。
塗り絵はお子さんの興味に合わせて準備できるとよいでしょう。
ステップ2:なぞり書き
ステップ2以降は、ワークやドリルを用意する必要があります。
ネット上に無料の教材もあるのでプリンタのある方は印刷して使うとよいですね。
なぞり書き練習は易しい順番で以下の4つに分類できます。
- 線のなぞり書き
- 画数の少ないひらがなのなぞり書き
- 自分の名前に含まれるひらがなのなぞり書き
- 好きなモノのなぞり書き
なぞり書き練習の時期
いくつかの「ひらがな」が読めるようになった時期からはじめます。
ひらがなを書く練習の目的は「ひらがなのカタチが思い出せること」なので、読めない文字の練習では、ただの運筆練習になってしまいます。
なぞり書き練習をはじめるのは「いくつかのひらがなが読める」ようになった後。
ひらがなの読むまでの練習方法は下記の記事を参考にしてください。
ステップ3:書き写し
書き写しは見本の「ひらがな」を参考に書く練習です。
「なぞり書き」よりも「書き写し」の方が、ひらがなを覚える効果が高いことが知られています。
書き写し練習の時期
ひらがなの清音を概ね読めるようになってきた時期から少しずつ行います。
ドリルで反復練習
この時期はドリルで反復練習を行います。
ただし、同じことの繰り返しになりやすいので、お子さんのモチベーションが下がらないようにしましょう。
飽きる前にやりきれる量にする、ご褒美シールを使うなども有効です。
「書き写し」を効果的に行うためのポイントを3つ紹介します。
- 見本、枠は大きい方が書きやすい
- 補助点・補助線を活用する
- 濃い鉛筆を使う
特に、補助点・補助線は効果的です。
書き順、「とめ」「はね」「はらい」は、後から覚え直すと大変なので、補助点・補助線を参考に、丁寧に時間をかけて練習します。
ステップ4:思い出して書く
ヒントなしで書く練習です。
単語の一部の文字が抜けているようなドリルからはじめるのがおすすめです。
ヒントがないため、この時期に書き順がおろそかになることがあります。
ご両親が横で確認したり、書き順を間違えた時に教えてくれるようなデジタル教材がおすすめです。
思い出して書く練習をする時期
この段階では特に基準となる開始時期はありあせん。
書き写し練習の中で、時々トライしてみるのがよいでしょう。
お手紙を書いてモチベーションup
この時期になると、単語や簡単な文も時間をかけて、時にはご両親のヒントで書けるようになります。
ご両親とお手紙交換遊びをすることで、モチベーションが上がります。
練習の1つとして取り入れてみてください。
まとめ
「ひらがなを書く」ための練習のポイント、進め方の4ステップを解説しました。
「読む力」を土台に「書く力」が伸びていきます。
運筆能力を育んでおき、「ひらがな」が読めるようになってからなぞり書きの練習から始めるのがポイントです。
この記事が、幼児期のお子さんをもつご両親の手助けになれば、それほど嬉しいことはありません。
お子さんが楽しみながら、「ひらがな練習」ができるようになることを、心から願っています。
「くろねことみけねこ」管理人:言語聴覚士「くろねこ」
最後までお読みいただきありがとうございました。
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