身辺自立

幼児期の上着の着脱|自分でできるようになる教え方

黒猫

上着には、頭からかぶるタイプ(トレーナー・パーカーなど)と、前を開いて羽織るタイプ(ジャンパーなど)があります。
かぶるタイプは頭を通したあとに袖を探す必要があり、幼児期の着替えの中でも難易度が高い動作です。

この記事では、長袖のかぶる上着を中心に、子どもが自分で着脱できるようになるためのサポート方法を紹介します。

練習の前に準備しよう

練習しやすい上着を選ぶ

いきなり好きな服で練習すると、うまくいかずに嫌になってしまうことも。最初は着やすい服から始めましょう。

練習しやすい上着
  • 首回りが広めのもの
  • 生地が柔らかく伸縮性があるもの
  • 体にゆとりがあるサイズ

首まわりが窮屈だと頭が引っかかりやすく、着ること自体が嫌になる原因になります。慣れてきたら少しずつ難易度を上げていけばOKです。

前後が分かる服を選ぶ

「どっちが前?」は幼児がよくつまずくポイントです。次のような工夫で判断しやすくなります。

  • タグが後ろ側にあることを一緒に確認する
  • 前側にワンポイントやキャラクターがある服を選ぶ

「このマークがある方が前だよ」とひと言添えるだけで、子ども自身が前後を確認しやすくなります。

置き方のコツ:「前身ごろを下にして置いてから持ち上げる」と、後ろ前になりにくくなります。

「このマークが前だよ」とひと言添えるだけで、子どもが判断しやすくなります

まずは「脱ぐ」から練習しよう

着替えの練習は、「着る」よりも動作がシンプルな「脱ぐ」から始めるのがおすすめです。成功体験を積みやすく、自信につながります。

袖から脱ぐ方法がおすすめ

頭から脱ぐ方法や腕を交差して脱ぐ方法もありますが、手順がわかりやすく服も裏返りにくい「袖から脱ぐ方法」が幼児期には向いています。

袖から脱ぐ手順
  1. 片方の袖口を持ち、腕を服の中に引き入れる
  2. 反対の腕も同様に引き入れる
  3. 両手で裾を持ち、肩の高さまで持ち上げる
  4. 襟ごと引き上げて頭を抜く

「どこを持って」「どちらに引っ張るか」を言葉と手の動きを合わせて教えると、よりスムーズに理解できます。

「着る」に挑戦しよう

脱ぐことに慣れてきたら、いよいよ「着る」練習です。工程が多いので、3つに分けて進めましょう。

ステップ1:頭を通す

着る方法には「頭からかぶる方法」と「手から通す方法」の2通りがあります。

手から通す方法は前後を間違えにくい利点がありますが、袖を手繰り寄せる動作が難しいことが多いため、最初は頭からかぶる方法がおすすめです。

  1. 服の裾を両手で持つ
  2. 頭からかぶり、顔を出す(服が肩にかかった状態)

頭が通ったら、まずはそこまでできたことを認めてあげましょう。最後まで着られなくても、一つひとつの動作を積み重ねることが上達につながります。

ステップ2:袖に腕を通す

頭が通ったら、次は袖探しです。手が見えない状態で袖口を探すのは、意外と難しい動作です。うまくいかないときは次のようにサポートしましょう。

  • 保護者が袖口を広げて待ってあげる
  • 「おててどこかな?」と声かけしながら一緒に探す
  • 袖口からほんの少し指を出しておいて、子どもが掴みやすくする

最初のうちは上着が回転しやすいため、保護者が軽く服を押さえて安定させてあげると腕を通しやすくなります。

袖口が見つかると、腕を通しやすくなります

ステップ3:裾を整える

着られたように見えても、背中がめくれていたり服がねじれていたりすることがあります。

「最後に裾を下へ引っ張ろうね」という仕上げの動作を習慣にすると、身だしなみを整える練習にもなります。

裾を整えることを忘れないようにする

教えるときの2つのポイント

子どもの後ろからサポートする

上着の着方を教えるときは、子どもの後ろから手伝うようにします。

大人が動きを伝えやすいだけでなく、子どもも自分の手元を見ながら取り組めるため、「どこを動かせばよいのか」がわかりやすくなります。

「一緒にやる」を意識する

難しい部分をすべて大人がやってしまうのではなく、子どもの手にそっと手を添えながら一緒に行うことが大切です。例えば、

  • 頭を通すところだけ手伝う
  • 袖口を広げるところだけサポートする
  • 裾を引っ張る動作を一緒に行う

など、子どもができる部分はできるだけ任せましょう。

言葉だけで説明するよりも、実際の動きを一緒に経験する方がずっと伝わりやすくなります。

着替えを上手にする「体づくり」

かぶる上着の着脱には、次のような力が関わっています。

  • 両腕を頭の上まで上げる力
  • 肩を大きく動かせる柔軟性
  • 左右の手を連携させて使う協調性
  • 自分の体がどこにあるかを感じる力(ボディイメージ)

これらは日々の遊びの中で自然と育ちます。

こんな遊びが効果的育つ力
バンザイ遊び・高いところに手を伸ばす遊び両腕を上げる力
トンネルくぐり・狭い空間を通る遊びボディイメージ
ボール遊び・キャッチボール両手の協調性
ジャングルジム・のぼり棒肩・腕の筋力

特別なトレーニングは必要ありません。日々の遊びを大切にしましょう。

まとめ

かぶる上着の着脱には、腕を上げる力・両手の協調性・ボディイメージなど、さまざまな発達が関係しています。

大切なのは、できない部分を繰り返し練習させることではなく、子どもが成功しやすい環境を整えながら、少しずつできることを増やしていくことです。

日々の着替えは、自立心や生活力を育てる大切な経験です。お子さんの発達段階に合わせて、無理のないペースで取り組んでいきましょう。

上着を着る練習のポイント
  • 「脱ぐ」練習は袖から脱ぐ方法から
  • 「着る」練習は頭からかぶる方法から、ステップを分けて
  • 伸縮性のある上着で始め、難易度を少しずつ上げる
  • 子どもの後ろから手を添えて「一緒にやる」サポートを
  • 小さな成功をたくさん褒める
ABOUT ME
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言語聴覚士
『子ども分野の言語聴覚士(小児ST)』として働いています。支援に関わる中で、「こんな教材があったらいいな」と感じたものを形にし、プリントを作成しています。
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