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くろねこ
【言語聴覚士】
総合病院で働く子ども分野の言語聴覚士(小児ST)。
「ことばの発達」が専門ですが、身辺自立・運動発達の知識もあります。
「幼児ことばの教室」「通級指導教室」の先生を対象とした研修で講師もしています。

「音韻意識」を言語聴覚士が丁寧に解説!おうちで音韻意識を育てよう!

くろねこ

「音韻意識」を知っていますか?

「カルタ遊び」をしたり、「しりとり」をしたり、子どもにとって言葉遊びは楽しいものです。

でも、その遊びの中に、実は言葉を操るための大切な力が隠されています!

それが「音韻意識」です。

音韻意識とは、言葉を音の単位で捉える力のこと。

音を自由自在に操って、言葉を分解したり、組み替えたり、新しい言葉を作ったり…想像するだけでワクワクしますね!

実は、この音韻意識は「ひらがなの読み書き習得」に大きく影響するんです。

  • スラスラ読める子、そうでない子
  • 間違えずに書ける子、そうでない子

その差は、実は音韻意識の差にあるかもしれません。

このページでは、そんな音韻意識について言語聴覚士が解説します。

音韻意識!
このページでわかること
  • 音韻意識とは何か
  • なぜ音韻意識が重要なのか
  • おうちで音韻意識を育てる遊び

「ひらがなの読み書き」につながる「音韻意識」を育んで、子どもの才能を育てましょう!

この記事を書いている人

くろねこ

  • 総合病院で働く言語聴覚士(ST)
  • 子どもの発達を支援する小児ST
目次

音韻意識とは何か?

音韻意識とは、「ことばの音の側面に注目し、操作する能力」のことです。

具体的には、以下の4つのスキルを指します。

音韻意識の4つのスキル
  1. 言葉を音に分解するスキル
  2. 音を区別するスキル
  3. 音の順番を把握するスキル
  4. 音の順番を入れ替えるスキル

4つのスキルについて、以下に説明します。

音韻意識①言葉を音に分解するスキル

「言葉を音に分解するスキル」は、日本語の音の基準に沿って1つ1つに分ける力です。

例えば、「桜」という言葉なら「さ・く・ら」の3つの音に、「かたつむり」なら「か・た・つ・む・り」の5つの音に分解できます。

※「日本語の音の基準」について知る

「音」というと、楽器を鳴らしたり、モノをぶつけたりした時に聞こえるものですよね。

普段の生活では馴染みがないかもしれませんが、人の声も言語学では「音」と表現します。

日本語の音は「音素・音節・モーラ」などの単位がありますが、このページではモーラを「音」の単位として記載しています。

では、私たちが話している日本語には何種類の「音」があるでしょうか。

よく「50音」という言い方をしますが、日本語の音は103種類あります。

日本語の103種類の音は以下の通りです。

きゃしゃちゃにゃひゃみゃりゃぎゃじゃびゃぴゃ
きゅしゅちゅにゅひゅみゅりゅぎゅじゅびゅぴゅ
きょしょちょにょひょみょりょぎょじょびょぴょ
日本語の音一覧

音韻意識②音を区別するスキル

「音を区別するスキル」とは、音の違いを聞き分ける能力のことです。

例えば、「こ」と「ご」は似た特徴を持つ音ですが、異なる音です。日本語の音の基準では、この2つは別々の音として扱われています。

一方、英語の「Light」と「Right」の『LとR』は、日本語では「同じ音」として扱われます。

日本人にとって『LとR』が同じように聞こえるのは、2つの音を区別する必要のない環境で育ったからです。

音韻意識③音の順番を把握するスキル

「音の順番を把握するスキル」とは、言葉を構成する音の並び順を意識的に認識する能力のことです。

例えば、「車」という言葉は「く」の音から始まり、次に「る」の音が続き、最後の音が「ま」であることがわかることです。

音韻意識④音の順番を入れ替えるスキル

「音の順番を入れ替えるスキル」とは、言葉を構成する音の並び順を入れ替えて、新しい言葉を作る能力のことです。

例えば、「りんご」の「り」と「ご」を入れ替えて、「ごんり」という新しい言葉を作るスキルです。

くろねこ

「ごりん」なんて言葉はないけどね。

また、言葉を逆に言ったり、音の一部を省略したりすることもこのスキルに含まれます。

  • 言葉を逆に言う:すいか→かいす
  • 音の一部を省略する:くるま→くま

音韻意識の4つのスキルをまとめておきますね!

音韻意識のスキル

音韻意識が読み書きで重要な理由

音韻意識は、「ひらがなの読み書き習得」に大きく関係しています。

なぜなら、日本語は「1つの音が1つのひらがなに対応する」という特徴があるからです。

自分が言ったり、聞いたりする言葉を1音ずつ捉えることができなければ、文字を書いたり正確に読んだりすることは難しくなります。

例えば、「桜」という言葉を聞いて「さくら」と書く場合を考えてみましょう。

  • 「桜」を「sa・ku・ra」と3つの音に分ける
  • 1番始めの音「sa」に注目する
  • 「sa」に対応するひらがな「さ」を思い出す
  • 「さ」を書く

という4つの過程に分けられます。

この過程の1~2で必要なのが音韻意識のスキルです。

音韻意識が十分に育ってない場合

「さくら」と書くことを例に、音韻意識が十分に育ってない場合、どのような間違いをするか例を挙げます。

「言葉を音に分解するスキル」が育っていない場合

「s・aku・ra」と分けたり、「saku・ra」に分けたりします。

当然、「s」や「saku」に該当するひらがなはないため、書くことができません。

「音を区別するスキル」が育っていない場合

「sa」と「ta」を十分に区別していない場合、「たくら」と書いてしまいます。

「音の順番を把握するスキル」が育っていない場合

始めに何を書いていいかわからなかったり、「さ」の次に何を書いたらいいかわからなくなったりします。

音韻意識は3~7歳で発達する

音韻意識は4歳半ごろから身につき始めると言われています。

ただ、ひらがなを読むために音韻意識の一部のスキルは必要です。

そのように考えるとひらがなを読み始める3歳頃から、音韻意識の基礎的な力は育ってきていると考えられます。

また、音韻意識④の「音の順番を入れ替えるスキル」に関しては、年長の1年間で急速に育ち、小学校1年生で、さらにいっそう発達します。

参考文献:健常児おける音韻意識の発達

音韻意識を育てる遊び

音韻意識を育てるため、おうちでできる遊びを紹介します。

くろねこ

子どもが楽しんでできるものを集めたよ。

「あ」から始まることば探し

「あ」から始まる言葉を言い合う遊びです。

「青」「アイス」「アイロン」など。

親子で交互に言い合って競争したり、長い言葉の方が高ポイントにしたりするとさらに盛り上がります。

もちろん「あ」以外の音に変えてもいいですよ。

しりとり

「しりとり」は言葉の最後の音に注目する遊びです。

楽しみながら言葉の音に構造に気づき、音韻意識が自然と育まれるのが「しりとり」のよいところです。

たぬき言葉

「たぬき言葉」は、「た」の音を抜くと出現する言葉を子どもが答える遊びです。

  • ねたこ→ねこ
  • さたかな→さかな
  • くたるたま→くるま

2文字の言葉から始めて、少しずつ文字数を増やします。

「た」を必要以上に多く入れると子どもウケがいいですよ。

くろねこ

さたたかたたな→「さかな」みたいにね。

逆から言うと?

言葉を逆さまに言うとどんな言葉になるか考える遊びです。

  • 「はな」を逆から言うとなーんだ?
  • 「バケツ」を逆から言うとなーんだ?

「みずね」を逆から言うと?→「ねずみ」のように、逆から言うことで言葉になるやり方もいいですね。

しゃべくりお化け

「しゃべくりお化け」は、音の順番を入れ替えて言葉を作る遊びです。

  • 「ごいち」→いちご
  • 「りまわひ」→ひまわり

「逆から言うとなーんだ?」よりも難易度の高い遊びです。

カルタ

カルタは「はじめの文字」に注目する必要がある、音韻意識を楽しく育てられる遊びです。

勝敗がつくので、子どもが夢中になって楽しめます。

文字数すごろく

文字数すごろくは、絵カードを用意し、選んだカードの文字数だけ進むルールのすごろくです。

「すごろく」と「絵カード」を用意する必要がありますが、家族全員でできるというメリットがあります。

回文

回文は上から読んでも、下から読んでも同じ言葉になる言葉。

下から読んでも同じになるか確認する過程が、音韻意識を育みます。

回文の例

3文字

夫婦、トマト、ダメだ、泣くな、痛い、奇跡、歌う、八百屋、南、子猫、いない、印、アジア、スイス

4文字

キツツキ

5文字

キノコの木、このきのこ、うどんどう?、柿の木か?、作る靴、歌うたう、描いたイカ、黄色い木、靴につく、イカと貝、崖でケガ、無駄なダム、ヨダレだよ、ナスですな、ゴマ卵、新聞紙

じゃんけんグリコ

「じゃんけんグリコ」は、階段などでじゃんけんをして、勝った人が決まった数だけ進み、ゴール地点に最初に着いた人が勝ちの遊びです。

  • グー:グリコ(3歩)
  • チョキ:チヨコレイト(6歩)
  • パー:パイナツプル(6歩)

ローカルルールもあるため、その地域に合わせた遊び方で楽しみましょう。

まとめ

音韻意識は、ひらがなの読み書き習得の基礎となる重要な能力です。

ことばの音の側面に注目することで、音と文字の関係を理解し、読み書きの土台が築くことができます。

このページで紹介した「音韻意識を育てる遊び」は、おうちで楽しく簡単におこなうことができます。

親子で一緒に遊びながら、音韻意識を育てましょう。

くろねこ

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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